豊後便り・名水篇

東京はまた暑さが戻ってきました。別府暮らしの友人から、涼しい写真を送る、とメールが来ました。

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小津留湧水

【九州は福岡以外は好天に恵まれています。写真は豊後竹田市のおづる湧水。水汲みに訪れる人の群れが一段落した、つかの間の無人の瞬間です。】

全国で名水を汲みに行くのが流行りました。調べてみると、小津留湧水の辺りは豆腐が有名だそうです。名水あれば豆腐、そして銘酒がある。豆腐料理も食べたのかしら。

鳥取から帰京する度に、東京ではこんなまずい水を飲んでいたのか、と思いました(東京の水道水は、世界でも高品質だと聞いたことがありますが)。しかし慣れれば感じなくなります。その東京で最もまずい水は、東大構内の水。配水管が古いからでしょうが、ペットボトルの無かった時代、図書館で一息入れて飲む水は最悪でした。

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別府湾

【左方対岸に見えるのは国東半島です。別府港からは四国の八幡浜港へ向かうフェリーがあって、白い船の航行するのも見えます。】

博多が父祖の地である私からすると、別府は湯治か遊びに行く所で定住する土地ではない、との固定観念があり、面と向かってそう言うものだから、しきりに、いい所だと言ってきます。なるほどオーシャンビューの毎日は素晴らしいでしょうね。オンラインの研究会に誘ってみましたが、孫と遊ぶ約束がある、と断られました。

昨日あたりから、朝、窓を開けると流れ込んでくる空気に、かすかに甘い香りが混じっている気がします。長雨につられて木犀が咲き始めたのでしょうか。硝子の食器と寝茣蓙をしまって、タオルケットを厚手のものに替えました。晩秋のために植えたパプリカは未だ花が咲き始めたばかり、もう少し暑さが続かないと結実が間に合いません。