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危機感が共有されてない、と政府関係者の口から聞かされると、どっちの言う科白だ、と言いたくなります。最近は閣僚、厚労官僚、コロナ対策分科会専門委員、都職員の中でも言うことが区々で、数字や現状把握や今後の見通しに、整合性がない(相互に、だけでなく、同じ人間の中でさえ)。がんばってるなと思って見ていた都知事が、五輪のおかげで在宅率が上がっているとか、一人暮らしの方は自宅が病室だと思っていただき、とか公言するようになり、なりふり構わずになってきました。

もうすぐ来る国政選挙。しかし野党は国会で、政府に信用がないから自粛が広まらないんだ、どうするんだ!と詰め寄るだけ(言ってることは正しくても、今そこでそれを言って、どうなる)。忠告しておきたい。いまこの時期に、根本的な国政の枠組み変更を選ぶ余裕は、選挙民にはない。来たる選挙では、もし自分が今、行政のあのポストにいたら何をやるかを語れ。行革大臣でも経済再生担当相でも、厚労相でも知事でも、WHO事務局長でも保健所長でも、はたまた総理でも。

街は人出で賑わっています。退け時の居酒屋はほぼ満席、土日は若い、平日の朝夕は高年齢のカップルが出歩き、報道画面を見れば、入れないのに国立競技場周辺や五輪モニュメントの前は黒山の人だかり。東京の住宅事情は、3日も4日も家族が鼻突き合わせてじっとしていられるようにはなっていませんし、長引く自粛で用事もストレスも溜まっているところへの4連休、代々木の森では万近い人数でお祭りをやっている、となれば、温順しく家に籠もっている方が異端者のような気分になるでしょう。

一方で医療や救急の現場では、限界を超える任務を被っています。しかも日ごとに増える。危機感を共有して欲しいのは、政治家やスポーツ関係者、そう、あなた方です。