アメリカの夢

アメリカ文学が専門の友人から、メールが来ました。米国大統領選挙候補者討論会を実況中継で見たそうです。

「October surpriseと言うそうですが、愕き二乗でした。討論会の衝撃と、当事者の、この時期のCOVID感染。討論会は、3人(Trump, Biden, Wallace)の発言が重なった上、日本語の通訳の声までまじり、聞き取りづらかったです。大将は相手をこき下ろす、発言の邪魔をする。最初のうちは落ち着いていたBidenも引きずられるように危ない言葉を口にしてしまう。敗者はアメリカ国民、とのコメントがありましたが、私はアメリカという国だと思いました。大統領のあのような行状を見る限り、アメリカが世界の指導的立場にあるなんて、冗談としか思えません。ならば、Trumpが大好きなフレーズ "Make A merica Great" とか "Make America Great Again"はピッタリなスローガンであるかも知れません。今はgreatではないということでしょうから。」

現大統領には、「大将」という日本語の人称がぴったりですね。私は今回の討論会を視ていて、彼の本職はプロレスラーなんだな、と思ってしまいました。

かつて日本がアメリカと戦って敗れたことすら知らない世代が出てきたそうですが、戦争体験世代は米国に対して、その価値観、文化伝統に独特の見方を持っていました。使い捨て、大量消費、技術信仰、その合理性、圧倒的なエネルギー、一方で伝統の浅さ、他者を軽く見る楽天性。その後、友人の世代から団塊の世代くらいまで、大いなる米国への憧れは強く、やがてベトナム戦争が、日本人の米国観にある変化をもたらしました。

米国に何度も留学し、彼国への憧憬と尊敬を抱いてきた友人の胸中は、察するに余りある、と思いました。大将、判ってますか?極東の、遠い小さな国から見つめる目を。