35万回

人気ミュージシャンの「うちで踊ろう」と抱き合わせで投稿された首相の動画ー上質そうな部屋着で、小綺麗そうな室内で、温順しそうな犬を撫で、可愛らしそうなマグカップで珈琲を飲む休日。何考えてんだ、と思ったのですが、官房長官が記者会見で、これまでで最高の35万回の「いいね!」がついた、と自慢したので仰天。ほんとかよ、世の中は分からない物だなあと、嘆息しました。

勿論、首相と雖も休日にくつろいで悪いわけはありません。しかし、そうしている間も医療関係者は殆ど不眠不休で働き、政府の対策チームは時差に関係なく海外から飛び込んでくる情報を分析し、働いています(TV番組によれば、彼らの仕事場はこれ以上はない3密だった)。そんな時に、自らああいう動画を流す神経。在宅勧奨のイメージモデルは、人気アイドルに任せておくべきでしょう。

そもそも彼は、すべては私に一任しておけばいいんだ、というメッセージを出し続けてきました。野党や国民の声を聞くのではなく、求められても説明せず、統計数値や記録文書は自由に始末して、あんたらは文句を言わなくていい、黙って従いてくれば悪いようにはならない、と。だから今、感染症が政府の力ではどうにもならず(私が責任取ればいいってもんじゃない、と国会で言いましたね)、各個人の心がけで沈静化させるしかない(それは事実です)という状況に居座られると、おかしいじゃないか、という気になるのです。

各県知事がそれぞれ、能力や条件の違いを露呈しながらも、眼前の事態を引き受けて頑張っている日曜日でした。35万回の応答とはー今朝の新聞の一口皮肉欄に傑作が載っていました。「いいね、あんたは能天気で・・・」