投票日直前

一昨日の晩から翌朝にかけて、英国首相の辞任表明というニュースに驚かされました。政府関係者50名以上が抗議の意を籠めた辞任を表明して、首相は留任を断念せざるを得なくなったという説明に、さすがというか・・・辞任する閣僚の1人が「もういい、今がその時だ」と議会で迫る映像を視て、一種羨望に近いものを覚えました。弊国を顧みれば、自らの進退を賭けてトップの言動を諫止する人物は、もはや伝説上でしかお目にかかれなくなったのでは。政治家でも企業人でも。

しかし驚愕はその後にやってきました。昼前のニュースを視ようとしたら、騒然としている。何があったんだって?奈良でーそれからTVはほぼ終日、同じ映像とコメントを繰り返し続けました。ヘリで官邸へ戻った現総理の記者会見は、涙ながらでした。

選挙演説中の狙撃の映像、砲煙の流れを見るだけでも至近距離なのが分かります。警備もスタッフも、誰一人背後を護っていない。それどころか見てさえいない。もしも犯人が野次を飛ばしていたら、警察は彼を拘束して、事なきを得たのでしょうか。悔しい。

しかし私が違和感を持ったのはその後でした。民主主義への挑戦、言論の自由封殺等々の語が飛び交う。違うだろ!現在報道されている限りで言えば、犯人は政治信念とは関係なく、怨みがあったと言っています。ある団体に家庭を壊された、その団体と懇意な有名人を狙撃しやすい機会があった、約めて言えばそういうことなのらしい。

誰であっても他人から殺されてはなりません。同時に、真面目で能力もあった青年が、なぜ41歳まで定職も家族も持たずに怨念を抱えて生きてきたのか。それこそ今の日本を象徴する政治的問題でしょう。これは民主主義制度の否定ではない。冷静に、今と未来の社会を考えろ、という警鐘です。迷っていた明日の投票先が、私の中で決まりました。