拾う

放っておくと枯れてしまう、と分かった花や芽を、つい拾ってしまいます。4,5日前、小学校の脇に真っ赤なフリージアの花が抜き捨てられていました。誰かが、花を折ろうとしたら根元から抜けてしまったので、驚いて捨てたらしい。このまま放置すれば枯れるだけですので、辺りを見回し、拾いました。家へ帰って、赭い芽の出始めた石榴の枝を剪り、白い益子の一輪挿しに一緒に活けました。

一昨日は、植え込みの陰に播いておいた百合の2年生が抜き捨てられていました。未だ細身ながら、みずみずしい葉と臙脂色の茎と白い根元が美しい。百合のむかごは、1年目は一つ葉で芽を出しますが、3年目から花が咲きます。百合の花粉を嫌う人が抜いたのでしょう(でも球根が残っているから、来年も生えます)。拾って、青い硝子の一口瓶に挿し、小豆色のビオラを添えてみました。この季節らしい1点になりました。

昨日、神代桜の小枝が落ちて萎れていたのも拾いました。鳥が落としたのでしょうか。咎められないようにショールにくるんで持ち帰りました。ブランデーグラスの底に水を張り、浮かせておくと、少しずつ花のふくらみが戻ってくる(10時間も経っているのに!)のを確かめて寝ました。今朝、水を替えようとしたら、草疲れた花はさすがに散ってしまいましたが、新芽が1つ輝いているので、小さな香水瓶に挿しなおして、もう数日眺めることにしました。

捨てる神あれば拾う神あり、という諺もありましたっけ。