春は名のみの

寒暖が入れ替わる時季とはいえ今年は極端です。今日は雪もよう。しかし晴れた朝は、窓を開けた時の雲の動きや、空の色が真青でなくどこかやわらかく輪郭がぼやけていることから、バレンタインデーを過ぎれば早春、という例年の感覚を思い出しました。

街のあちこちに馬酔木や沈丁花が花をつけ始めています。山城の錦織勤さんから、庭先に植えた蕗薹が、昨夏の猛暑のせいか2個しか収穫できなかった、というメールが来たので近所の空地を覗いてみたら、もう雄花が開いた株が3つも見つかりました。蕗は湿地を好む(この空地は暗渠の蓋の上にある)そうなので、山城では昨夏乾燥しすぎたのでしょう。スーパーには、小さな手毬のように綺麗に形の揃った蕗薹のパック詰めや、こごみ、うるい、たらの芽など栽培物の山菜が出ていました。

我が家のベランダでは、お浸しにして食っちゃうぞ、と言いたくなるほど、パンジービオラも葉ばかり茂っていたのですが、数日暖かい日が続くと一斉に咲き乱れ始めました。そして、去年の晩春に買ってきたペチュニアが1株生き残り、朱色の花を開き始めたのです、何度も抜き捨てようとしたのに。日照抜群の我が家ではありますが、感激。ヒヤシンスの1株が咲き終わった後、茎を摘んだらもう1本花茎があって、暖かい日が来た途端一気に伸び上がり、咲く態勢に入りました。まこと太陽は偉大です。

近所に週末だけ開く花屋があって、品数も少なくやや高値ですが、時々珍しい花があるので寄ってみました。紅色のイキシアの蕾があり、売り子の女性が、自分の誕生花なのでつい仕入れちゃいました、と言う。咲かせる自信がないので迷っていると、フリージアがありますよ、と言う。はっとしました。一昨年3月の命日に、亡父の好きだったフリージアを捜しに来たことを覚えていたらしい。勿論買いました。