猫柳

暖かい日差しが戻ってくると、コロナで鬱屈していた気分が幾分か和らぎます。人間界が右往左往していても、季節は確実に春へ向かっている。今年は花屋の仕入れが間に合わず、我が家の庭では未だ、菊と観賞用唐辛子が主役を張っています。細々と白い小花をつけていたアリッサム(庭薺)を日の当たる場所へ出しておいたら、次第に紫色になり、じつは白花ではなかったことが判明。太陽は偉大だと、改めて思いました。

実生の侘助に、今年は7箇の蕾がつき、うっすらと紅色が差してきました。近所の家の白椿から実を失敬してきて播いた所存が、じつは後ろに隠れていた紅の侘助の実だったのです。一昨年に初めて3輪咲きましたが、もはや鉢が小さすぎるらしく、葉色に元気がなくなって心配していました。去年の夏の終わりに発蕾に気づき、これ以上大きな鉢には替えられない(私が持ち上げられなくなる)ので、日々詫びながら水を遣っています。実生のとちおとめが2綸目の花をつけ、リルケ忌には間に合わなかった薔薇の蕾も、日増しに膨らんできました。

素馨花にも蕾が見え始め、今待っているのは胡蝶蘭ムスカリの蕾です。そして楽しみは、年末に買った猫柳の挿し木。正月用に買ったのですが、根元から発根していたので、切り落とした部分も貰って来ました。銀白色に輝く芽が美しい。鉢に挿して、朝、その梢だけに日が当たっているのを見ると、希望の象徴のように思えます。

ところがー挿してからはっと気づいたのは、これは水辺の植物だということ。ネットで調べると、株の根元は水に浸かっているくらいがよい、とある。しまった!池のない我が家でどうやって育てるのか。盆栽仕立てにもできるようですが、芽が開けば普通の柳になる。後先見ずに植えた責任を、どう取ればいいでしょう。