女の現場・アラ還篇

先日のゼミ会で出た話題の幾つかが、まさに現代日本の課題を衝いていると思うので、もう少し詳しく書いてみます。「女の」という冠詞は不本意なのですが、社会の問題はまず女の現場から溢れ始めるのが常なので、敢えてこのシリーズにはつけました。

彼女たちは45年前の卒業時、みんな就職しました。証券会社、丸ノ内にある商事会社、PCのインストラクター、研究室助手・・・花のOLだったのです。やがて結婚、出産、夫の転勤などそれぞれの事情に合わせて、短期の職に就いたりボランティア活動をしたり、お稽古事や通信教育を受けたりしてきました。57~58歳になって子供たちの世代を見ていると、今の男たちは大変だなあと思う、そうです。外で働いて、育児も家事もできなければいけない。同様に女性も外で働くのが当たり前になり、社会でのキャリアを築かなければいけない、どっちも大変になった、と。

同時に今時の若い人はウェブ上の知識がすぐ手に入るので、他人の助言に耳を貸さなくなった、という話が出ました。娘が出産するとき、いっぱい言ってやりたいことがあるのに、あ、ネットで調べるからいいわ、と断られた、という愚痴。飼犬が老衰で死にそうになり、娘がネットで「犬の死に方」を調べ、緑便が出て痙攣が起こると最期だと言うので、痙攣し始めた時みんなでお別れや感謝の言葉をかけたが、死なない。結局、痙攣が数日続いて虹の橋を渡った、という笑い話。

自分たちの時代は、図書館で目的以外の本に出遭ったり、調べ物に困って上級生に訊いていると周囲からいろいろ教えられ、それがヒントになって新たな段階へ辿り着く、という風に、多様な手段や情報が混じり合って先へ進んでいったが、ウェブでいきなり一つだけの解答に飛びついてしまう現代は、アブナイ、という話には一同頷き合いました。