ストライキ

池袋のデパートが外国ファンドに身売りすることになり、雇用の保障を求めた労組が1日だけのストライキを打ったことが、ニュースになりました。街頭でインタビューされた若者が、教科書の中でしか知らなかったストライキを初めて見た、と言ったので吃驚、百貨店のストライキは61年ぶりだそうです。

学部卒で民放TV局に勤めました。労組は全員加入、夏のボーナス闘争では新入社員は未だ試雇期間中なので、半日ストライキの指名から外されました。ニュースショーのアナウンサーは欠けるわけにはいかないので、「闘争中」と染め抜いた鉢巻を締めてスタジオに出ました。日ごろ現場から離れている管理職が、新入社員を連れて金魚鉢と呼ばれる指示室に入り、サインを出すのですが、どことなく浮き浮きしてるなあ、と感じたことを覚えています。技術さんと呼ばれる機械操作の人たちも管理職なので、「現役に比べて何分の1秒か、操作が遅れる」と教えられました。労使双方了解済みのストライキでした。

大学院を出て都立の定時制高校に勤めた時は、夕方から都教組の集会に出かけて授業を休むのが、実質上のストライキでした。反戦反軍運動には参加するが給与闘争には参加しないという主義の教員がいて、学校に残る保安要員になって貰い、生徒数が少ないので教頭が一斉授業をしました。地方公務員ゆえ後日、処分が来ます。長老教員が、闘争なんだから負けることもある、処分は甘んじて受けるべきだと言ったことを覚えています。

オーナーが変わるというのは労働者にとっては一大事です。経営者は、何も相談なしに進めたのでしょうか。雇用の保障は売却の条件にはしにくい、新しいオーナーと交渉しろ、ということなのでしょうか。近年のデパートはメーカーの出向者や非正規社員が多いでしょうから、労組も昔とは違うのでしょう。教科書に書かれていない要素の多い時代です。