源平の人々に出会う旅 第73回「福岡県・平家伝説」

 九州には壇の浦で亡んだ平家の落人伝説が多数ありますが、そればかりではありません。たとえば、都落ち以前に死去した小松殿重盛(清盛嫡男)の伝説が多いのも興味深いところです。

【七木地蔵尊
 七木地蔵は、久留米市長門石地区にかつて存在した両道院(平重盛ゆかりとも)にあったと伝わります。その名の由来は、七種の巨木が幹を一つにしたようにそびえ、その根元に鎮座していたからだといわれています。

 

【碇石(長門石八幡)】
 七木地蔵尊からほど近い長門石八幡の境内には長門国から運ばれた碇石があり、長門石の町名の由来になっています。この碇石は平家の船の碇だったという説もあるようです。

 

平重盛の墓】
 太宰府天満宮の近くに、平重盛の墓と伝わる小さな祠があります。『平家物語』には、都落ちの際、平貞能が重盛の墓を掘り起こしたことが記されているので、その遺骨をこの地に埋めたのではないかと言われています。

 

〈交通〉
七木地蔵尊・碇石…JR久留米駅
平重盛の墓…西鉄太宰府駅
          (伊藤悦子)