とぼとぼ

昨日、買い物帰りに人通りの多い舗道で転びました。年度末の下水道工事後のでこぼこに、滑り止めのきつい老人用靴底が引っかかり、顔から落ちたのです。中年女性たち数人に抱き起こされ、帰宅後調べたら打撲や擦り傷は大したことがなく、一番の被害は眼鏡枠が曲がったこと。つくづく筋力の衰えを感じました。とぼとぼ歩くのが厭で、午前中は未だ身体が寝ぼけているのに急いだのがいけなかったのです。

自分が弱小化することに耐えられなければならない、と痛感しました(どこかの大国の大統領にも、そう言ってやりたい。成熟した後には、規模が小さくなり、影響力の落ちた自らに慣れて、それに見合った振舞を洗練することが必要なのだと)。とぼとぼと、年寄り臭く歩くことに慣れなくては。

身体の節々が痛かったのですが、本郷税務署へ、確定申告書を提出しに行くことにしました。時間がかかってもいい、と考えるよう自分に言い聞かせながら出発。眼鏡屋で枠を直し、バスで追分まで行き、曲がりくねった裏道を辿って税務署へ。静まりかえる家々に、白梅が咲き始めていました。税務署には殆ど誰もいません。数年前からここでは申告書作成相談は受け付けなくなったので行列はなく、提出印を貰って帰りました。

とぼとぼと、ゆっくり歩き続け、すでに半ばシャッター商店街になった本郷通りを帰りました。ロータリーの角には、鉛筆のような10階建てビルが建設中です。かつてここには鞄修理屋がありました。喫茶店古書店も、居酒屋も、去年よりさらに減り、弁当屋だけが増え、学生街の面影は殆どなくなりました。例年、確定申告の帰りにはちょっと豪華な昼食を摂って、ささやかな抵抗感を味わっていたのですが、今年は喫茶店に入る気にもなれません。赤門前の扇屋で、草餅と桜饅頭を買って帰りました。