砂丘長芋

鳥取へ赴任した年の暮、大学付属砂丘研究所で試験栽培した長芋を、恩師に御歳暮代わりにお送りしました。その頃は未だふつうの、黒くて細い長芋で、同僚からこんな物を恩師に送るのか、と嗤われました。いいのよ、鳥取の雰囲気をちょくちょくお届けするんだから、と言い返したのですが、その後20年経って、ある事業でお世話になっている方々にJAからお送りした時は、すっかり贈答用品の顔になったもようでした。砂地育ちなので泥色でなく金茶色、詰め物には間伐材を利用したチップを使っているらしい。箱を開けたらいい香り、思わずこのチップで燻製を作ろうかと考えた等々、好評でした。

正月に一族が集まって、家父長が擂鉢でとろろを擂るのが慣わしになったという一家もありました。小人数家庭ではなかなかとろろ飯の機会はないかもしれませんが、ある友人からは、ざっと潰してツナ缶を混ぜ、とろけるチーズを載せてレンジで焼くと旨い、というレシピが返ってきました。友人名を冠に「○○グラタン砂丘風」と命名し、ツナを叩いた小海老とグリンピース、またはアスパラガスに換えてみたりして試行錯誤中です。

我が家ではこんな料理にします。①よく洗い、皮付きのままぶつ切りにして塩を振って焼く(酒肴です) ②千切りにして、和布と一緒にコンソメスープの具(少量が上品)にする ③千切りか短冊切りにして明太子、または明太子を混ぜたマヨネーズで和える  ④拍子木に切って油揚、または鶏肉、椎茸、絹さやなどと共に煮る。油揚はやや濃いめ、鶏肉なら薄味で。醤油漬、フリッターや、おろしてお好み焼きに混ぜてもいい。

気をよくして、今年も11月末に発注したのですが届きません。JAに電話したら、選果場を改装中(この時期にか!)なので、23日発送になるという。この時間感覚が、名産品全国化の足を引っ張っている。