生活者の街へ

ここへ越してきた当初は近くの個人商店が次々畳み始め、後にはコンビニしかなく、勤め帰りにデパ地下で惣菜や食材を買い込んで帰りました。デパ地下で野菜や魚を買う生活なんて、と軽蔑していたのですが、背に腹は代えられません。上手に買えば、新鮮で珍しい食材が入手できます。そのうち小さなスーパー(プチえつ)ができ、コンビニと併用しながら暮らして来たのですが、このところ周辺に3店もスーパーができました。マンションが増え、コロナによるステイホームで、需要が増えたものと見えます。

学生時代は喫茶店だった本郷通りの角は、長らくパチンコ店でしたが、新築マンションの下にライフが開店、春日通りにまいばすけっと、そして春日町再開発で巨大ビルが建ち並んだ白山通りにはマルえつができたのです。見比べて使い分けることにしました。

ライフは何故か入り口に階段があって、出入りしにくく、店内の動線設計が悪い。また何故か、2階の乾き物つまみが充実している。まいばすけっとはマヨネーズが安いと、美容院の親父に教えられました。マルえつは野菜売り場の中央に生産者直売コーナーがあって、量は少ないものの旬の採れたてが出ています。野菜が新鮮で安いのは播磨坂の三徳。プチえつは最近、輸入果物ばかり置くようになって、季節感がなくなった。

赤門の前にあるコンビニには、こじゃれた、ちょっと高めの食品が揃っています。今どきの東大生は金持ちなんだなと思いながら、時々クロワッサンを買いに行くのですが、最近異変が起こりました。客に杖を突いたお婆さん(私もそうだが)が多くなったのです。量の少ない甘味がいろいろあるのが人気の因らしい。老人は棚の品を手に取ってはためつすがめつするので、店としてはあまり嬉しくないかもしれず、ちょっと微笑ましい思いで眺めました。学生街から生活者の街へー本郷はいま変わりつつあります。