鳥の眼

ムスカリを植えました。露地栽培ではもうとっくに芽が出て、すくすく伸びているのですが、球根を掘り上げた後にパプリカを播いてあったので、なかなか植え替える機会がなかったのです。待たせて御免、と言いながら、萎れたコリウスを抜いたプランターにパプリカを移植し、空いた平鉢にムスカリを植え付けました。パプリカは実が黄色と紫に色づき始めています。これから年末までの彩りです。

今年は菊の勢いがよく、蕾がぴかぴか光り始め、こうなると間もなく咲き出します。台風の塩害から立ち直るのに3年かかりました。桔梗の2番花も元気です。咲く直前の蕾は、気球のようにぷっくり膨らんでかわいいことを初めて知りました。桔梗をこんなに間近かで観察したことは、今までなかったからでしょう。石榴の黄葉が散り始め、これから暫くは掃き掃除が必要です。

コキアが真紅に紅葉し、日々草の咲き残りの赤い花と共に眼に沁みるようです。パプリカと菊の葉の緑が強く、庭が寂しいので、ミニ鶏頭の苗を買いました。なるべく赤い花の多いポットを選んだのですが、陽光の下で見たら赤でなく牡丹色でした。

晩年の父は何故か赤い色の入ったネクタイを締めたがり、寒椿の生垣が気に入っていました。年寄りの眼には、赤色が綺麗に見えるものらしい。鳥の眼に近くなるのでしょうか、木の実が赤いのは鳥に食べて貰うためだ、と聞いたことがあります。

若い頃、後輩と一緒に車窓から、田圃の鳥よけに吊された、目玉を描いた風船を見て恐いと言ったら、「鳥の眼をお持ちなんですね」と言われたことを思い出しました。車内を通り過ぎるキュートな女の子を見て「あの子可愛いね」と言ったら、「男の眼もお持ちなんですね!」と言われましたっけ。