秋草の園・完

若山牧水の「かたはらに秋ぐさの花かたるらく」という歌は有名で、小諸城趾に歌碑が建っていますが、私は若い頃、彼のこんな歌が好きでした。

吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ(『別離』)

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杜鵑(桃源)

メールの添え書きには、以下のようにありました―[丈の低い小さな花を咲かせる園芸品種です。台湾や西表島に普通に咲く品種からの改良品種なので、夏の暑さに強いです。私は黄上臈杜鵑(キイジョウロウホトトギス)が好きなのですが、これは紀伊半島の山間部に多く自生し、いくつかの町が町おこしに利用し、毎年花の時期は関西方面からの観光客が大勢出かけるらしい。ただ、湿った岩場を好むので、直射日光に当たると葉焼けして根から枯れてしまいます。毎年苦労して咲かせていたのですが、今年はほとんど蕾を付けず、やっとのことで生き延びている感じです。可哀想なことをしました。]

黄上臈杜鵑は、偶然ツイッター上で見かけましたが、小さな百合のような感じでした。やはり時鳥の胸毛に似た斑点のある花でなくっちゃ。あの斑点は、若い頃は蕁麻疹を思い出して好きになれませんでしたが、年をとってからは、下葉がすこし枯れたのを玄関に活けたりすると、この季節にぴったりで、いいなあと思います。

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野紺菊

川越花便りの秋草特集も、今年はこれで完結です。

摘みてはすて摘みてはすてし野のはなの我等があとにとほく続きぬ(若山牧水『独り歌へる』)