川越便り・杜鵑篇

川越の友人から、「蛇足」と銘打ったメールが来ました。先日、本ブログで私が、竜胆の花はないのか、杜鵑草の花には斑点がなくちゃそれらしくない、と書いたのが気になっていたらしいのです。

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川越花便り・卓上篇

秋薔薇を切って硝子瓶に挿してみたとあって、白は「エルヴィス」(プレスリーに捧げられた)、ピンクは「ジャルダン・ドゥ・フランス」、オレンジは「フリュイティ」 という品種だそうです。花に大小があり、色の配合もいいですね。ちゃんと普通の杜鵑草もあるぞ、というメッセージで挿し添えられた小枝が、意外にもアクセントになっています。

メールには、[キイジョウロウホトトギスにもしっかり時鳥の胸毛のような斑点がありますよ。花は下向きに咲くので、下から覗くとやっぱり時鳥だなと分かります。数年前のちゃんと咲いた時の鉢を見てください。]とあります。写真からは鳴子百合を連想しました(同じ百合科)。なるほど内部には臙脂色の斑点があって、普通の杜鵑草より西洋風です。竜胆は早咲きが終わり、蝦夷竜胆は未だ蕾が堅い、とのこと。

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黄上臈杜鵑

久しぶりに西片町のスーパーへ出かけ、竜胆の切り花を衝動買いしてしまいました。我が家はいま、夏の花の名残を剪って活け、秋色を演出しています。洗面台には代赭色のコリウスに羊歯と雪花葛の蔓を。遅れて満開になったランタナ常滑の花瓶に挿して仏壇に(橙色の花と濃緑の葉が紫檀の仏壇によく似合いました)。当分切り花を買う予定はなかったのに、川越の青い花園の魔力に引っかかったかもしれません。深い紺青の花と草紅葉し始めた葉を辰砂の瀬戸に挿し、卓上に置いて足早な秋を惜しんでいます。