喜寿祝

突然、表玄関のチャイムが鳴りました。インターホンに出ると、若い人が「区から喜寿のお祝いをお届けに来ました」と言う。えっ、予告なし?と思いましたが、お祝いが出ることは区報で知っていたので、我が家の戸口で待っていると、野球帽にTシャツ、身分証を首から提げたおにいさんがやって来ました。真夏日ゆえ、こちらはタンクトップに短パンというスタイル。あちらも意外なようでしたが、受領のサインを貰って帰りました。

派手な祝熨斗がかかった緑茶1包みと一口羊羹の小箱です。区長の挨拶状が入っていました。とりあえず仏壇に上げました。数年前叔父が百歳になった時、その前年までは都から銀杯が届いたそうですが、もはや百歳の人が多すぎて予算が足りず、叔父の年から銀メッキになったそうです。従妹に、都知事が来たの?と訊いたら、そんなことまで手が回らないでしょ、とのことでした。

古希を過ぎると、申請すれば毎年、町内会から老舗扇屋の赤飯が届きます。しかし私よりもはるかに年長の町内会長が、付き添いを連れて各戸を回るので気の毒になり、申請するのをやめました(台風の日に来られたことがあって、思わず「お帰り大丈夫ですか?」と訊いてしまい、厭な顔をされました)。区の職員なのかただの配達員なのか、協同組合の店員なのか分かりませんが、若い人に来て貰った方が老人も嬉しいです。

しかし問題は、ゆっくり緑茶を淹れて、羊羹を味わうような生活をしていないことです。誕生日はとっくに過ぎたし、敬老の日はいつなのかもはっきりしないし、私としては喜寿記念の心算の大仕事もぶじ終わったし・・・ちょうど働き者のエノキさんが来ていたので、半分分けました。疲れた時の甘い物1口は、効きます。それに御祝儀は、人に分けた方が、めでたさが増すものだから。