クリスマスリース

従妹から大きな箱が届きました。開けてみたら、クリスマスリース。杉の葉や唐辛子、姫林檎が鏤められた、生の豪華なリースです。家の中がぱっと華やぎました。先日亡くなった101歳の叔父の長男・長女(従弟妹)からのカードが添えられていました。従妹は英国人と結婚しているので、こういうことには慣れているのかもしれません。いろいろ忙しいはずなのに、これが周囲にファンを作るこつなんだなあと感心しながら、玄関のドアに(戸外へ向けて)掛けました。

ご近所では手作りのリースを季節ごとに掛ける(小さな子供がドアを間違えないための目印でもある)家が多く、日頃から羨ましかったので、見せびらかしたい。例年、豆粒ほどのサンタクロースと鐘のオーナメントを戸口に飾るだけだったので、少々面はゆい感じでもあります。

亡くなった母(101歳の叔父には母親代わりの姉だった)はクリスチャンだったらしく、遺品の聖書もありますが、結婚して父の実家で療養することになり、彼女専用の数珠も残っています(日蓮宗では毎朝お題目を上げるのが習慣)。多くの日本人にとって宗教とは、相互に排斥するものではなかったのでしょう。子供の頃に教えられたのは、「お天道様が見てござる」という言葉だけでした。私がかつて聖書を読みふけったのは、その詩的文体に魅惑されてのことで、島崎藤村堀辰雄の世界に惹かれるのと同次元だったと、今になって思います。

ローマ教皇の、「祈りましょう」という言葉に続いて頭を垂れ、じっと思いを籠める時間に、現代人が忘れそうな何かを、霧の中に透視したような気がした人もあったのではないでしょうか。大嘗祭も元来は、そういう趣旨だったのかもしれません。