軍記・語り物研究会例会

雨の合間に法政大学へ、軍記・語り物研究会例会に出かけました。今年は台風の塩害で東京の紅葉は駄目かなと思っていたのですが、水道橋の都立工芸高校の植え込みや、外濠通りでは紅葉が始まっていて、遅めの晩秋を実感しました。研究会は20人足らずの出席でしたが、剣巻や書誌学の専門家が遠隔地から参加、期待が感じられました。

1本目は『剣巻』の精確な翻刻を目指す鶴巻由美さんの報告。2本目は岩城賢太郎さんの、源平盛衰記版本の制作過程をつぶさに追っていく報告でした。つい最近の古典籍大入札会に出た乱版や寛永11年刊記切り接ぎ整版本に関する情報もやりとりされ、科研費による源平盛衰記伝本研究報告会の予告(2020年2月23日 於法政大学市ヶ谷キャンパス)もなされました。『吾妻鏡』の整版本は近世を通じて版は1つだったとか、『太平記』と源平盛衰記とは同じ工房で乱版を制作したらしいとか、いろいろ耳学問をしました。

帰りは市ヶ谷から後楽園前に出たので、ついでに大手スーパーに寄りました。銀白色とピンクのLEDでしぶきのように光るクリスマスツリーが立っていて、レジ袋もクリスマス柄です。ジャムとクロワッサンとルッコラを買って帰りました。研究会の間になま温かい雨が大量に降ったらしく、舗道からは落葉の湿気の匂いが立っています。洗濯物はずぶ濡れになっていましたが、空気は包みこむようにやさしい。

研究会や学会は、決まったメンバーだけで仲よく楽しくやっていると、やがて堕落します、自分たちには分からぬままに。最近、国文学が急速に内向きになり、内側だけの論理で動く傾向が目につく気がするのは、私の思い過ごしでしょうか。