索引と年表

軍記物語講座第2巻附録の源平盛衰記地名索引、第1巻・第4巻附録の年表を作成するための打ち合わせに出かけました。春日通りの交差点近くの会議室です。何かの店を閉めて、取り壊しまでの期間、貸し部屋で稼いでいるらしい。休日の午後、廃屋のようなビルの1室で、若手研究者3人、編集者と一緒に、いま軍記物語を読むのに役立つツールを、出版可能な条件内で作るとしたら、という議論を、4時間続けました。

源平盛衰記には地名が詳しく、しかも案外古い時代まで遡れる地名が少なくありません。盛衰記の索引を作りたいと思ってから半世紀近く、しかし未だに校注本文さえ揃っていない。もう漫然と待ってはいられないと、まずは固有名詞索引、その中でもどうにか可能性がありそうな地名索引を作ってみることにしたのですが・・・これが意外に大変。地名の範囲をどこまでにするか、大寺院や大内裏内の建物は地名か、所在地の判らない地名をどうするか、次ぎ次ぎ疑問が出て来ます。第一、分量的に附録の域内に収まりそうにない。

第1巻の年表は延長8年(930)から正慶2年(1333)、つまり軍記物語の時代前半、400年間という長期に亘り、第4巻の年表は文永の役(1274)から応仁の乱(1469)までの約200年、室町軍記の時代をカバーして、2冊をつなげれば本講座の時代が見渡せるよう、様式をなるべく統一して作ることにしました。こちらも分量的に附録につけられるか、見通せません。

難題を次々クリアしながら、次回の打ち合わせの日を決め、編集者との間で、第1巻予告用のウェブ原稿の細部を詰めた後、京都からこの4月に東京へ赴任した加美甲多さんを囲んで、食事をして帰りました。地元民が賑やかに利用する中華料理屋です。春日通りには夜目にも白く、茅がやの穂が靡いていました。