宮古島

宮古島へ行って来たから、とお土産に黒糖のカステラを頂きました。黒砂糖はあのしつこさが苦手で、茶褐色のカステラを恐る恐る試食したのですが、香りがよく、しつこくなく、ほどよい軽さで、美味しい。今はスイーツにもさまざまな工夫が凝らされていて、宮古島では製塩所のソフトクリームが美味しかったことを思い出しました。

5年前、友人の定年祝いに2泊3日で宮古島へ行きました。ストレスの多い勤務から解放された友人は、すっかり気に入って褒めちぎり、同行の私たちは、観光大使に推薦してあげるよ、とからかいました。海が綺麗なのはもとより、シーズンオフ(3月)だったので人が少なく、一面に見慣れない花々が咲き乱れ、手つかずの自然が広がっていました。早世した旧友の息子がホテルのシェフをやっているのですが、5月には岬が百合の花で埋め尽くされると言っていました。頭の上からヤシガニが落ちて来たり、足下を這っていくヤドカリが天然記念物だったり。

たいへんなのは台風がしょっちゅう通ることです。その時は観光客はホテルに缶詰になるので、スタッフは24時間勤務、食事も3食出すので飽きられない工夫をする、とシェフが言っていました。永年の習慣で、私は地元の生活をさりげなく取材するのですが、あんなに綺麗な海で、地元民は泳がないそうです。海は仕事をするところ、海で遊んでいるのはよそもの、と地元出身のマッサージ師から聞きました。

今は外国人の団体観光客で賑わっているらしい。煙草畑が減って砂糖黍畑が増えているようです。橋も架かりました。自衛隊配備のニュースなどをよく耳にするので、この頃は物騒なんじゃない?と電話で訊いたところ、「いや、別に。ああ、そう言えばこないだ橋から落ちた人があった」という返事でした。