菜の名

地方へ行くと見慣れない魚が出回っているのに吃驚しますが、菜っ葉の類も土地によって種類が違うようです。殊に正月の雑煮に入れる菜っ葉は、その土地ごとにかけがえがないらしく、東京では見たこともなく、またその時期だけしか出回らない菜っ葉があります。近頃は生産者が勝手に命名した駄洒落半分の名前があって(「おいしいな」、「たべたいな」、「花菜」等々)、まごつきます。

名古屋では雑煮には餅菜、福岡では鰹菜。東京では小松菜を雑煮にも普段の料理(例えば、油揚げと小松菜をさっと煮て、仕上げに胡麻油を1滴たらすと美味しい)にも使うようですが、餅菜も鰹菜も雑煮専用です。

白菜は、親の世代では外国渡来の野菜扱いで高価だったそうです。漬物の葉の部分で白飯を巻いて食べると美味しいですね。コンビニの白菜漬は、細かに切ってあるのでできませんが。

長野の友人からメールが来ました。この時期には野沢菜を山ほど漬けるそうですが、年々若い世代が喜ばなくなったらしい。今年は特に値段が高騰して、2度に分けて漬けることにした由です。野沢菜にもいろいろな呼び名があり、地元では「お菜」が普通の呼び方で、先日、なぜ(漬ける前に)洗う時は「お菜洗い」と言い、漬かった野沢菜は「お葉漬け」と言うのかが、地元の新聞紙面をにぎわせたとのことでした。