新おせち料理

気がつけばはや歳末。おせち料理の手配が気になり出しました。我が家ではまずお屠蘇散の確保から始まります。以前は出入りの酒屋が挨拶に持って来たものですが、今は味醂の付録だと言う。我が家は殆ど味醂なしで作るので、やむなく薬局で買うことにしたのですが、去年、行きつけの薬局で若い店員から1年前の売れ残り品を出され、2度とその店へは行かないことにしました(香りもないし、第一、縁起物だ!)。今年はどこかで調達しなければ。

伝統的なおせちは、かつては台所担当の女衆が休めるための保存食だったのでしょうが、全体に味付けが濃く、甘すぎる。我が家ではこれまで、いろいろなアレンジを加えてきました。田作りの代わりには小魚を油で炒る程度に揚げたもの。きんとんの代わりには蜜柑ゼリーを葉つき蜜柑を器にして固めたもの。この頃は栗の甘露煮をサワークリームと混ぜてゆるめ、酒の合間に出します。ヨーグルトに黒豆の煮汁を混ぜると墨流しのようになり、菓子作り用の金粉を散らしたりすればめでたい気分が出ます(但しあまり量が多いとグロテスクになるので、小さい器でちょっと出すのがコツ)。鶉の卵を醤油と酒と八角で煮しめたもの(香りのある料理はめでたさを感じさせます)。

若い頃は赤ワインで煮込んだ煮豚と、林檎と蟹缶を豪勢に入れたポテトサラダが我が家の正月の定番でしたが、最近は鯛スモークや菊膾、蕗薹の佃煮などを買ってきて正月らしさを演出しています。

用賀に住んでいた当時、1軒置いた隣りが山口出身の方で、いつも大晦日に「郷里から来たから」と極上の蒲鉾をお裾分け頂きました。博多出身の我が家では、関東の蒲鉾を小馬鹿にしていましたが、さすがに山口の蒲鉾は歯ごたえがあって美味しい。板わさもいい器に載せれば、正月の酒肴らしくなります。