コロナの街・part15

正月用食材を買い出しに出かけました。瓶詰など賞味期限の長いものはすでに買ってあるのですが、野菜類など、どうしても必要なものが未だです。往きの地下鉄は年末、平日、この時間ならまあこんなもの、という混み具合でしたが、帰りの都バスは混んでいて、正月3ケ日人少なになる東京の、例年の静かさには、ならないかもれません。

目当ての物はほぼ揃いました。今年はどうしても支出が控えめになります。棚には年内賞味期限の品や、3ケ日の中に期限の来る品が多く残っているのが目立ち、仕入れの見通しがやや外れたな、と感じました。静岡産の姿のいいクレソンをやめて、山梨産のがっちりした安売りクレソンを大量に買うことにしました。恒例の鯛スモークも1月2日期限の値引き商品にして、代わりに鮟肝を買いました。

今年は来客がないことが確実なので、例年作る豚のワイン煮はやめ、鶉卵の八角煮を作ることにしました(香料を効かせた料理は、めでたさ感が出ます)。つまり終日、酒肴を傍らに置いて、ものを読んだりうとうとしたりすることになりそう。久しぶりに、締め切り間近の仕事がない正月です(遅れているゲラは、5日着にして貰いました)。

仏壇の父とサシのおせちですので、精進物が多い。菊膾、叩き牛蒡、晩菊、それに黒豆。栗の甘露煮はサワークリームで和えます。ミニ胡瓜やラディシュやクレソンは、合間に生で囓る心算。蕗の薹の佃煮は春の到来の象徴です。

今年は銀杏並木が未だ枯れ木にならず、半分くらいしか散っていません。日本海側や群馬ではかつてない大雪だったのに、富士山頂には雪がなく、妙な気候です。我が家の庭先は春の苗が揃わず、菊紅葉を眺めながら新年を迎えることにしました。息を潜めて、コロナの終息を待つ正月です。