鴨東通信

きっと待たされるだろうと、ツンドクの山の中から抜き出した小冊子を持って銀行へ出かけました。拾い読みしているうちに視線が止まりました―「特定の理論体系に史料を〈埋め込む〉姿勢」、「あたらしい理論ないし巧妙なレトリックで古典テクスト理解に新機軸をもたらさんとするも、丁寧なテクスト自体の精査を蔑ろにし、結果、古典をもてあそぶに終始する研究者が存在する一方、逆に史料主義を偏重するあまり袋小路に入ったまま出てこられず、また這い出ようとする努力の必要性すらまったく意識せず、相も変わらず定型的な研究に従事する研究者」云々。えっ、どの分野のこと?タイトルを見直したら、竹村英二さんの「日本思想史研究の国際化のために」という小文でした。

竹村さん御自身のお仕事をじっくり読んだことはないので、引用するのは気が引けたのですが、ちょうど「文学研究の再構築」というコンセプトの原稿を書いている最中で、他人ごととは思えませんでした。

小冊子は「鴨東通信」101号。「鴨東」を「おうとう」と読むのは分かっているのですが、つい「かもとう」と読んでしまい、思文閣の人から嫌がられたことがありました。「鴨」という字のインパクトのつよさです。