巳年なので蛇の話題があちこちに出ます。蛇にはどうも不気味さ、嫌悪感がつきまとうのは避けられません。恐怖感は、人間が猿から岐れて進化する以前からのもので、樹上で暮らしていた時に酷い目に遭わされた遠い記憶が残っているからなのだ、という説を耳にしたことがありますが、ほんとかなあ。
考えてみると、あの嫌悪感、不気味さは、足のない、長い身体の生物に共通しているような気がします。芋虫、蚯蚓、蛞蝓・・・書いているだけで気持ちが悪くなってきた。蜥蜴や鰐には、恐怖は抱いても、蛇から感じるような不気味さはありません。何故でしょうか。猫が不意に胡瓜を見た時、滑稽なくらいパニックに陥るのは、蛇と見間違うからだという話を聞いたことがありますが、それでは猫は何故、紐や縄が好きでじゃれつくのでしょうか。
子供の頃は、物置小屋などに蛇の抜殻が落ちていることがあって、日曜日に小屋の整理をしていた父から見せられました。蛇の体紋がそのままで、しかしシースルー、不思議な感じで眺めた記憶があります。
30代で勤めた職場はブラックな学校法人で、私はそれまで経験したことのない人間関係に苦しみ、このままでは一生笑顔を忘れてしまう、と思いました。その頃の晩秋の朝、登校したら辺りに人がおらず、大小2匹の蛇が校門の排水口に潜り込もうとしてもつれ合っているのを見ました。大きい方は黒い蛇、小さい方は深紅でした。それを見た時、私の中で、転任の決意が固まりました。そして鳥取へ赴任したのですが、前任者がトラブルに巻き込まれて辞職した年、4階の彼の研究室の壁を黒い蛇が這い回ったという話を聞きました。勿論、両者に関連はありません。