九ちゃん

昨夜は偶々坂本九のヒット曲「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」を語る番組を視ました(NHK「アナザーストーリー」、BSテレ東昭和は輝いていた」)。居眠りしたり食器を洗ったりしながら断続的に視たのですが、知らなかったことばかりで、さらにネット検索してみて吃驚させられました。

学生時代は家にTVがなかった(NHK料金の集金人に信じて貰えず、苦労しました)ので、私の同時代史には一部欠損があるのです。今になって、へえ~そうだっんだ、ということが屡々ある。坂本九に関しても、にきびだらけの、人は好さそうな青年が、わかりやすい歌を歌ってたな、という記憶しかありませんでした。

1985年、御巣鷹山の墜落事故の夏、私は短大の学生を連れて京都へゼミ旅行に行ったのですが、1日自由行動にして学生を手放し、奥比叡観光バスに乗りました。ところが独り旅のお婆さんがいて、やたらにくっついて来るのです。こちらは引率から解放された貴重な時間、そっとしておいて欲しい。しかし問わず語りに、御巣鷹村の家族から今夏は事故関連の世話で村中手が離せないと言われて京都の親戚に預けられたが、居づらくて近郷近在歩き尽くし、このバスに乗った、と聞かされました。

上を向いて歩こう」は1963年、60年安保挫折後の若者の心を動かし、米国では戦前戦中苦労した日系人たちに支持され、かつての駐日米軍兵士を狙ったレコード会社からスキヤキの名で売り出されて、大ヒットしたのだそうです。米国の女性グループも失恋の歌にしてカバー、再びヒットしたという。坂本九自身は邦楽にもロックにも詳しく、プレスリーに憧れ、裏音を響かせる発声法が曲に合い、時代にも合ったのだという説明は、目から鱗でした。「夜の星を」は、結婚式で合唱されたのを聞いて心に残りました。