量り売り

川越の友人から、レジ袋有料化についてメールが来ました。

【いつも思うのは、日本では何故、量り売りをしないのか?ということです。

ジュネーブで暮らした半年の間、よく野菜や肉などを買いに行きました。スイスでは、食料品は基本的に量り売りです。胡瓜でも林檎でも、形の良しあしを問わず、大きさもまちまちな中から欲しい分だけ、自分で秤にかけて籠に入れると、秤から重さと金額を打ったレシートが出てきます。肉もブロックしか置いてないので、その場で切り分けてもらいます。最後はレジで商品をコンベアに載せてレシートを渡し、合計金額を払って、コンベアで運ばれた買物を自分のバッグに詰めれば終了です。

これだと袋詰めにする手間も要りませんし、客も不必要な分まで買うこともありません。農家だって作物を形が揃わないからと廃棄することなどない。ポリ袋有料化なんて、小手先の政策に過ぎません。私は、昔からずっと怒っています。】

ふむ。日本でも半世紀前は量り売りが基本でした。子供の頃、スコップで秤の上の紙袋に菓子が移される時、少しでも多く入るように、と見つめながらわくわくしました(最後に、おまけ、と小さく一掬い足してくれたり)。苺などは潰れて汁が滲むので、勤め帰りの買物には不便になり、その頃からプラスチックケースやポリ袋が普及し始め、自分の生活がアクロバティックに忙しくなるのにつれてそれらに助けられたことは事実です。

現代は、例えば曲がった胡瓜は輸送に効率が悪く、消費者からも敬遠されるので、畑で稚い実にギプスを嵌めるという話を聞きました。消費者も意識改革が必要かもしれません。しかしチコリ1個、絹さや30gをプラスチックトレイに貼り付けて売る必要があるでしょうか。整合性のない論理に服従するのが気色わるいたちで(それゆえこの職業を選んだ)、見せしめSDGsには納得できないのです。