羅山と古活字版

高木浩明さんの斯道文庫における講演会(「羅山と古活字版」)がYouTubeで、配付資料がウェブ上に、公開されています。

https://www.youtube.com/watch?v=jRQ0e8oyV74

https://keio.box.com/s/16ortlmkyr5bmg5a8u5zvvvdaig5aucv

2時間に及ぶ講演会なので、なかなか一気に視聴することは難しいかもしれませんが、講演では別に作られたパワーポイント資料を使い、質疑応答のレベルが極めて高いので、分割してでも視聴する価値があります。

川平敏文さんの質問「4種の系統の成立に、羅山はじめその周辺の人たちがどれくらい関係しているのか」。今の段階では、古活字版第一種本の刊行に際して、羅山もしくはその周辺の人により書写された本が、底本に用いられた可能性を想定するところまでです。

講演後に堀川貴司さんから頂いた質問「羅山はこの頃江戶にいたと思いますが、刊行はどこで行われたのでしょうか。また、どういった人が関わっていたのでしょうか。整版で出された著作は明らかに京都 で、荒川宗⻑のように姻戚関係のある本屋もいますが」。刊行者が誰なのかは古活字版では重要な問題ですが、伏見版や要法寺版、嵯峨本など、刊行の場や関係者がはっきりとわかるものがある一方、それらが明確でないものの方がむしろ多いことが課題です。羅山関係書と荒川宗長の周辺についても、少し洗い直してみようと思います。(高木浩明)】

高木さんが古活字版悉皆調査に取り組むきっかけになったという、一方系平家物語本文研究の動きは、私と村上学さんとで企画した八坂系諸本悉皆調査が、遠く玉突きで呼び起こしたのでした。思いがけない波及の結果をいま見ながら、感無量です。