引越マニュアル

引越の季節です。勤務先に合わせて、何度も引越を経験しました。所帯を分ける(荷物を引き抜く)引越も逆に合体する引越も、歩いて行ける距離でも700km離れた地へも。職業柄書籍が多く(駆け落ちはできない)、年度末に、しかも勤務に切れ目を作らず動くので、喩えれば走る特急列車の屋根から屋根へ飛び移るような引越ばかりでした。そういう経験から得たコツが役に立つかもしれない、と思って書いてみます。

昭和30年代、米軍仕込みのオフィス専門引越業者が、荷詰めから開梱まで一貫して引き受けるサービスを始めるようになりました。少々高くはつくが手際がよい。我が家では会社でそれを目撃した父が、いち早く採用しました。今ではごく当たり前になりましたが、けっきょく安くつき、お勧めです。但し見積もりに女性が来た時は、要注意。仕事量を少なめに(客の手を期待して)見積もる傾向があるからです。

私のやり方はこうですー予め段ボールを何枚か注文、気になる物だけを自分で詰めておく。到着後すぐ必要になる物の箱には、派手な目印をつけておきます。蓋につけると重ねた際に見えなくなるので、横腹に赤いビニールテープを巻く(または赤いマジックインキで太線を引く)のがいいでしょう。私は2~3種類の色シールを貼り、当日開梱は上段、後日開梱(中段)、当分開けない(下段)、という分類をして、荷下ろし時の積み重ね方を作業員に指示しました。また荷詰めの際に新居の間取り図を渡して、頭に入れておいて貰いました。運搬には男手があった方がいいが、開梱時の手伝いには女手が必要です。

トラックが出る前に、旧居の棚や引き出しを点検します。名古屋で近距離を引越した時、新居で包丁がないのに気づきました。作業員が詰め忘れたのです。真夜中、包丁を取りに戻り、紙袋に入れて歩いて帰りました。職質に遭ったら答えに窮したでしょう。