読後感4-1

豊田の大森さんから、メールが来ました。

[軍記物語講座第四巻『乱世を語りつぐ』を拝見しました。私世代の人間は、笹川さんや小林さんの視覚と手法に親近感をおぼえます。山上さんの論も近しく拝見しました(笹川祥生「「戦国軍記」の範囲」・小林健二「十七世紀初頭における幸若舞曲の一様相」、山上登志美「『応仁記』一巻本・二巻本の成立」)。「あとがき」の「室町時代という枠組みを設けて、前代からの変容とその完成を考えてみる」という壮大な構想に、気概を感じました。
 拙著『太平記』論は、牛歩ですが書き進めております。旧稿に少々手を加えればと思ってとりかかりましたが、現在の地点から考えますと、<文学研究は、面白くなければならない>という思いが強く湧いてきて、旧稿の物足りなさを痛感し、この思いと<折り合いをつける>ことに、今の生きがいを感じております。
 少々中身を言いますと⑴「序」の思想の、鎌倉末の思想界での位相 ⑵「序」が歴史叙述に対して具体的にはどうはたらいているか ⑶「正中の変」は実際にはなかったという、近年の日本史の一部の説の<虚妄性> ⑷「正中の変」描写の、歴史文学としての先進性、など。書き進めながら、新しい発見もあり、楽しんでおります。
 昨日で発症1年になります。リハビリも続けています。コロナ禍はまだ続くようで、油断せず、慎重に、息をひそめるように暮らしております(大森北義)]

このトシになると、文学研究は面白くなければならないと思う、という点、つよくつよく共感しました。

結城合戦状』所縁のお家柄である多ヶ谷有子さんのブログでも、『乱世を語りつぐ』を取り上げて頂いています。https://kittozutto.hatenablog.com/