瓦詐欺

世田谷に住んでいた頃は未だオレオレ詐欺はなく、墓地の売り込みと、瓦屋根修理の勧誘電話が執拗に掛かりました。阪神鳥取や熊本の震災後の復興度は、屋根を覆うブルーシートがなくなることが目安だったそうで、西日本では屋根といえば釉薬の懸かった瓦葺き、東京も戦後すぐはトタン葺きでしたが、徐々に瓦やスレート葺きになりました。瓦屋根は、外から見て何もないように見えても雨漏りが始まっていることがあるので、点検と称して葺き替えを押しつける、一種の詐欺商法です。

当時、4階建てマンションの4階に住んでいたので、マンション住まいだから瓦は要らない、うち個人で修理することはできない、屋根はない(!)と断るのですが、断っても断っても、「松下電器関係の会社」と名乗って掛けてくる。殆ど嫌がらせに近い。業を煮やして、松下電器へ電話を掛けました。先方はうちの会社は関係ない、むしろ被害者だ、との返答でしたが、いやそんなことはない、おたくの名前を使ってやってるのだから、おたくが放置しておくのはおかしい、と言い返して切りました。

瓦詐欺の電話はぴたりと止みました。さすが松下、と言うべきか。どういう方法を取ったのかは分かりませんが、的中でした。現在は松下電器という企業名はありません。

語学学校の勧誘が執拗に掛かったこともありました。片言の日本語で、こちらの返答が分からないふりをして何度も掛けてくる。一種の悪戯電話です。やむなく名乗った学校の電話番号を調べ、本部へ無言電話を掛けました。これも1発でぴたりと止みました。

墓地の売り込み撃退法を人から教わりました―そうだなあ、うちは夫婦とも一人っ子なんで墓は2つある、3つ目は要らない、と。新聞購読の勧誘には、あっ、主人がそちらに勤めてまして、いつもお世話になってます、と言うのが古典的撃退法だそうです。