斑唐津

今年は木犀が遅いなと思っていたら、まるで暦が変わるのを待っていたかのように、街からかすかに甘い香りが流れてきました。さきの東京五輪でおもてなしのために、東京の街には金木犀があちこちに植え込まれたのです。すでに老木になったものもあり、この近辺でも大分伐られましたが、それでも東京の秋は木犀の香りです。

硝子の食器を片付けました。寝茣蓙、タオルケット、短パンをしまいました。東京は秋の足が速い。2,3日ごとに季節が進みます。

庭では夏の花が終わって、冬越しの草花までちょっと間が空くので、鶏頭か唐辛子の苗を探したのですが、今年は花屋の商売もあがったりだそうで、苗が店に出ません。いつもと違う花屋まで出かけたら、岩沙参の青と白の鉢が出してありました。売れ残りの黒紫色の唐辛子を、買って帰りました。

今日は仲秋の名月。グーグルのヘッダーにも月が出ている。天気予報では今日は終日雨ということだったので、昨晩、手酌で月見酒を呑みました(ツイッターによれば、そういう人は多かったらしい)。肴はセロリと玉葱のマリネ、鮪の刺身4片、牛と獅子唐の炒め物にブロッコリーの蒸し物、それに茄子の糠漬(里芋を買ってくればよかった、と後悔しましたが後の祭り。急な決断だったので、名月料理がないのはしかたがない)。盃は父のお気に入りだった斑唐津。以前は地味すぎる気がしましたが、この頃は、これを置くと膳の上が落ち着くように思えます。

もう一仕事、とPCを開けたら、山野草マニアの友人から、藍蓼の写真が届いていました。犬蓼(赤まんま。子供の頃は、花穂をしごいてままごとのお赤飯にしました)はそこら中で見かけますが、藍蓼の花は、そうか、これなのか、と眺めました。

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川越花便り・藍蓼篇