石窯漁

ある冬の寒い日、鳥取のスーパーの棚に金銀の鱗が輝く魚が2匹、トレイに載って売られていました。体長は優に20cm以上あります。何だろう?金魚にしては大きすぎる。飾り物にしたいように綺麗です。ふと前日の「ニュース645」で、湖山池の石窯漁が報じられていたことを思い出しました。鮒だ!石窯漁法の獲物がスーパーに出るなんて、思いもよりませんでした。

湖山池は周囲18km、日本最大の「池」(汽水湖)です。かつて水辺には、小石を積んで作った窯が、水中に半ば沈んで設けられていました。上部に孔が開いており、そこへ棹や棒を突き立てて水中の魚を窯の奥へ追い込み、捕らえる漁法です。大勢で、半日以上かかって突き続けます。寒い水辺で、効率の悪い方法のようですが、30年前には未だ行われていたのです。

湖山池の鮒は刺身にして、鮒の卵をまぶしたものが名物です。我が家は川魚をあまり食べないので、鮒がこんなに大きくて、貫禄のある魚とは知りませんでした。人間に化けて漁師の殺生を止めさせる説話があるのが、納得できました。今でもあの漁法は保存されているのでしょうか。さすがにスーパーの売り物には出ないでしょうね。