一斉試験

15日の大学共通テストで、SNS経由のカンニングが行われ、当事者の仮面浪人(望まぬ大学に一旦籍を置いたまま、再度希望校受験の準備にいそしむ人を言う)が、遠隔地の警察に自首した事件。SNS経由と知った瞬間、ああやっぱりと思い、会場校の大学関係者が監督不慣れ、SNS不慣れだからといった発言が報道されるのに憤慨し、家庭教師マッチングアプリなるものに驚き、そして自首の知らせにちょっとほっとし・・・という私の反応は、大方の大学人の平均的な反応だと思いますが、どうでしょうか。

ウェブ上には、この事件にまきこまれかかった大学生の報告が載っています。https://note.com>really.itchy 要領よく整理してありますが、当日まで重大事件だと気づかなかったのは、20歳過ぎにしては社会性が未熟だとしか思えません(昨夜の閲覧時には、10日の数学オリンピック予選にも同じ手口で引っかかったことが書かれていましたが、今朝はその部分が削除されていました)。

容疑は業務妨害だそうですが、これはれっきとした詐欺です。周到に昨12月1日から準備を始めており、「魔がさした」といった文学的表現で言うようなものではない。そもそも何の為に入試があるのか。入学後の授業についていけるかどうかを測定するためでしょう。ともあれ自首によって更生の機会は増えたわけで、それはめでたい。

全国一斉、受験生を集めてのペーパーテストはもはや時代遅れです。問題作成から実施会場の監督に至るまで、大学人にかかる負担はすでにコスパが釣り合っていない。本気で攪乱しようと思ったら方法はいくらでもあり、悪意でなくとも年々増大する受験生の要求に会場で応じるのは、物理的に不可能に近くなっている。そして、たかが入試用共通テストが高校教育の指針となり、日本人の素養の基準となるかのような誤解は困ります。