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牡丹

鳥取と島根の間に中海という汽水湖があり、その中に大根島という小さな島があります。牡丹苗の産地で有名で、全国に出荷していますが、かつては女性の行商が主戦力でした。32年前、鳥取に赴任が決まってすぐ、NHKのTVドキュメント(「新日本紀行」だったか)で、牡丹苗を売り歩く女性が取り上げられました。夫が栽培した苗を妻の行く先々に送り、妻は1年の殆どを行商に歩くそうです。その番組に、新宿辺りのビルの1室で、スーツ姿の営業マンたちを相手に、姉さん被りのおばさんが飛び込みセールスの極意を伝授する場面がありました。庭のある、そこそこ何か植えられているがきっちり造園されてはいない家へ入って声をかける、苗の育て方や牡丹の特性を十分説明する、というようなことを話していました。多分、保険会社だったと思いますが、人事担当者が目をつけて、社員教育の中に組み込んだらしい。需要の有無を見抜くこと、商品の特徴を丁寧に説明すること、そして方言まじりの訥弁が信頼感を呼ぶこと・・・画面の意外さとは逆によく納得できる内容で、感心しました。

鳥取在任中のGWに、同僚の車で大根島へ連れて行って貰いました。島一面の牡丹畑。見事な大輪が種類もさまざま咲き誇っていました。ただ牡丹はどれもが香りがよいわけではなく、主として視覚で楽しむもののようです。観るなら朝早くがよい。日が昇ると花弁がゆるんでしまうからです。