錦蛇

ペットの錦蛇が、アパートの1室から逃げ出し、県警の大捜索にも見つからず、結局屋根裏から見つかった、との報道に、胸を撫で下ろした人は多かったでしょう。長さ3・5m、重さ13kgとあっては、いくら飼主が、温順しくて餌にも貪欲ではないと説明しても、跳びつかれれば子供や年寄りは転び、巻き付かれれば窒息死してしまう。4年前に購入した時は40cmだったそうですが、蛇の方も窮屈だったと思います。

当初、ツイッターに、大蛇が猫を呑みきれず吐き出す画像を貼り付けた人がいて、私も含め恐怖と嫌悪感が募りました。戸塚は未だ山林や叢も多く、県警はまず周囲の安全を確かめたのでしょうが、助言に当たった「専門家」ならずとも、この季節、外ではなく雨樋の中か天井裏に入ったのではないかと推測するのが普通だと思います。子供の頃、よく物置などに蛇の抜け殻が落ちていました。無毒な青大将が多かったようです。

人とは違ったペットを飼うのが流行した一時期、「サザエさん」に、ペットの梟を自慢する客の足元、渦巻型の絨毯(実は蛇のとぐろ)から大蛇が鎌首をもたげ、主人が「かわいいもんですなあ」と撫でる場面がありました。親族にペットの管理栄養士の資格を取った子がいるのですが、カメレオンの栄養も管理するの?と訊いたら、すらすらと棲息地や適切な餌の配合を答えたので、からかい気分を反省したことがあります。

写真で見るとなるほど皮の模様は美しいが、木造アパートの1室で飼うより、それ相応の設備のある所へ譲渡するのが妥当でしょう。突然、頭上に大蛇が蟠ったままの17日間なんて、勘弁して欲しい。

そう言えば湘南から小石川の小学校へ転校した時、担任教師の渾名は錦蛇でした。男子に理由を訊いたのですが、教えて貰えませんでした。