ブラックアウト

北海道の地震による大規模停電には、驚きました。各地に発電所があって、近辺に電力供給しているものだとばかり思っていたので、あんな広域(しかも雪の多い北海道で!)を1箇所でまかなっているとは想像もしていませんでした。送電の設備管理もたいへんだろうなあ、と思いを巡らせました。

現代の生活では、エネルギーの大半はもはや電力に頼っている、と言っても過言ではありません。ガスはなくても暮らせるが、水と電気がなかったら生命に関わります。ブラックアウトという仕組みがあるのも、今回の地震報道で初めて知りました。他の地域の大手電力会社を勤め上げた知人から以下のようなメールが来て、背景がよく分かりました。

<9/6付>「北海道では、地震の直接被害もさることながら、深夜の電力需要が少ない時間帯に、地震で大口供給源の火力発電所が停止したことによる全域停電(ブラックアウト)の影響が、混乱に輪をかけた感があります。復旧には、自力で起動できる水力から発電を始めて、火力の起動に必要な電力を確保し、次第に送電の輪を広げて行かねばならず、早期復旧を祈りたいものです。(机上訓練はできても、実働はそうそうあるものではないので)。」

<9/17付>「北海道は、揚水発電所(電力に余裕がある深夜に水を上池に汲み上げ、電気が必要な時間帯に下池に落として発電する)を活用して計画停電を回避できそうですが、揚水発電はもともと緊急時用で、発電量は2割以上ロスするので、火力の燃料費増加を招き、節電の収入減もあって、長期にわたると財務的には大変だと思います。」

自由化以前は、電力会社には供給義務が厳しく求められ、現在でも現場は、まず復旧、という態勢に全力を挙げるらしい。その上、顧客の希望に応じることも必要になったのでしょう。緊急時の対応は、後知恵で批判しきれない点もあるでしょうが、東北大地震直後の節電を思い出すと、これほど明るい夜がほんとうに必要なのか、時々考えてみてもいいのでは、と思ったりしました。

ちなみにブラックアウトという語には、報道管制、言論統制という意味もあるようです。こちらは、あってはならないことですね。