オール◯◯

五輪は「錦の御旗」なのでしょうか。一大イベントには違いないし、経済効果や国際交流にはたしかに有益かもしれません。しかし所詮、イベントです。日常の、しかも未来に向けて蓄積が必要な分野を、犠牲にすべきではない。

大学の学事暦は大学ごとに決めてよい、というのはほんとうです。だからと言って、本来の授業や単位認定を五輪のための特別仕様にするのは、限られた分野だけでいいのではないでしょうか、スポーツ健康学部とか国際観光学科とか。それ以外は学生たちが可能な範囲で協力すればいいし、そのための宣伝活動をすればいい。

小中学校の教員採用試験には水泳のテストがあります。地方勤務の頃、教員採用試験が近づいたら学生たちが水泳学校通いを始めたので、今まで泳げなかったのか、と訊いたところ、私たちの学年は、中学時代、国体で見せるマスゲームの練習で、プールの授業が潰されたのですという。全県この学年は、体育で水泳は習っていない、と聞いて吃驚しました。水泳学校で取り戻せる授業ならまあいいかもしれませんが、安易に「学生を使え」「学校にやらせればいい」という発想は、やめて貰いたい。

そもそもオール◯◯、一億総火の玉、打って一丸となって、というような表現が出て来たら、きゅっと用心したいと思います。いつか来た道だからです。殊に権力側が言う時は、有効な裏付けのない動員をかける時だと思っていい。しかしこれから3年間、始終耳にしそうな予感がして・・・