電子年賀状

元旦に2通の電子年賀状を貰いました。1通は能が専門の山中玲子さんから、アニメ風の少年が豚(猪?)に跨がり、菊の花束を捧げている図柄。菊慈童に見立てて、お互い長生きしようね、とのメッセージだと読みました。

もう1通は、国際結婚して正月は英国で過ごす従妹から。冬枯れの景色の中、鉢の土を小鳥がつつくとオリーブの木が生え、みるみる育ち、葉むらの中から白鳩が飛び出し、オリーブの小枝を咥えて飛んでくる、という図柄です。旧約聖書ノアの方舟譚の結末、洪水が引いたかどうかを確かめるために放った鳩が咥えてきた小枝の故事にちなみ、神との和解のしるし、転じて希望や平和の象徴として使われるので(そう言えば今読んでいるジーヴズものに、窮地に陥った主人公が、恐れている叔母との和解のきっかけを、「こういうのをオリーブの小枝と言うんだっけ、いやオレンジだっけ」と呟く場面があります)、国際的な年賀状のデザインに相応しいのでしょう。

年賀状も進化していくんだなあ、と感心しました。アナログ世代は無理して従いて行こうとすると苦しいので、感心だけしていることにしました。それゆえ、old fashionedの戻り年賀を書いて、投函を兼ねて天神様と薬師様に初詣に出かけました。年末から、東京の制空権は俺らに在る、と言わんばかりに鴉が騒ぎ、今日あたりは低空飛行しています。餌になるゴミが出ないからでしょう。車も自転車も通らない道路には、ぱらぱらと雀が群れを成して飛び降り、地上は彼らに制圧されています。

街は、ほんとはこのくらいの人数でいいんだよなあと、三が日にはしみじみ思います。