他山の石

確トラの報に世界はあたふた、金融市場が粗っぽく反応しています。友人たちとメールをやりとりすると、「民主主義を守れというスローガンは、選挙には効かないことが分かった」という人や、「彼国が民主主義の擁護者だというのは単なるこちらの思い込み、願望、幻想だったのではないか。再選への挑戦は、一部の有権者のみならず、さまざまな階級に亘って、彼と同じ夢を見る人々との協働作業だったのではないかと考えるようになった」という人、私もほぼ同感です。

しかし拱手してはいられません。折から国会の勢力地図が変わった弊国で、他山の石から学ぶべきことは第一に、貧富の差を広げてはいけない、ということです。古今東西を問わず、貧富の差は社会を分断する、深刻に。これから日本は苦境に立たされることが多くなるでしょう、殊に経済と安全保障について。アベノミクスの後遺症と、防衛通を演じたがる新総理とが厄介です。

日本はもはや経済大国ではありません。諸々の統計がそれを示しています。過去の”as NO.1”意識を引き摺っていては滅びます。小さくてもきらりと輝く国、といったスローガンが出た時期がありました。今後は、どうすれば小国として列強の中でやっていけるかを考え抜かなくてはなりません。耳障りだけよくて資金の裏付けもない、あぶく銭のような撒餌と、肥大化目的の軍事予算とは、やめて貰いたい。雇用を安定し、中小企業を守り、教育や介護など人の生涯に関わる労働環境を整えて欲しいと思います。国際基準とやらで大手企業の役員報酬を莫大な金額に引き上げるのも、止めたらどうか(その企業に働く者の平均賃金の何倍かを上限に定めては)。世代間分断も慎むべきです。高齢者の健康や介護を家族任せにせず社会保険で賄う、と決めたのにはちゃんと理由があるからです。