民主主義の晩秋

南風だというのに冷たい。朝、窓際で新聞を読みながら、入ってくる風に木枯の気配を感じました。午のニュースでは、富士山頂が白くなった映像が出ました。気象台の認定条件には適わなかったようですが、北国からは日々降雪の報が届く時季になっています。我が家の墓地は富士山麓にあるので、何となく、父や弟の住む所に雪が降ったような気になりました。寒いだろうなあ。

ニュース画面では見る見る合衆国地図が赤くなっていきます。パーセンテージではちょっとずつだけど、投票人獲得数はどんどん開いていく。弊国の総理も早々に祝意を述べました。メールを開けると友人から、あの顔をこれから4年間見るのがつらい、という文面が来ていて、同感。どっちが勝ってもむつかしいことになりそう、という心配をしていた知人もありましたが、心配の内容がはやくはっきりした、と言えるでしょうか。

彼国はマッチョの国なんですね。ショーマンである彼の言動の信頼性は一目瞭然だと思うのですが、オトコの眼では見抜けないらしい。誰のためのgreatか。彼の詭弁や脅迫に巻き込まれずに我が国の権益を保持して行くよう、総理に釘を刺しておきたいくらいです。日米協定見直しのためにハワイに自衛隊を駐留させるなんて、とんでもない、飛んで火に入る夏の虫。防衛官僚の方がよほど現実的です。日米貿易摩擦の歴史も長い。弱肉強食を国内に持ち込まないよう、関係部署には頑張って欲しいと思います。

終日、若書きの論文に朱筆を入れながら、民主主義の宿命を思いました。数を獲ろうとすれば、極端か似たり寄ったりか、いずれにせよ「嘘も方便」的なアピールをすることになる。有権者はそれを知りながら選ばねばならないー寂しい。

郵便受けには、はや喪中欠礼の葉書が届いていました。夕空には爪痕のような三日月。