サライを聴く

1日の晩、日テレの「24時間テレビ」を視ました。サライを聴きたかったからです。あの番組の最後に歌われるのが一番、似合う。

私が視たのは熟年のコメディアンが能登の高校生を率いてダンスに挑戦するVTRからで、番組全体を視てはいません。恒例のマラソンの走者は、いま好感度1位、元自衛隊員という若い女性タレントでした。今年は台風を用心して、横浜のスタジアム内で30kmを走り、そこから両国国技館まで走るという企画で、左足を引き摺りながら、歩いたり走ったりする映像が出ました。

何気なく見始めたのですが、いいなあと思ったのは、スタジオで映像を見守るタレントたちの顔でした。普段ふざけ回っているタレントたちも、真剣な顔になっている。初老の司会業タレントは、走者が「いい顔している」、と呟きました。私は知らなかったのですが、彼女は養護施設で暮らしたことがあるそうで、今回はマラソンへの寄付は、児童養護施設が欲しいものを寄付する、という目的限定チャリティにしたのだそうです。囲んで走っていたのは、スポーツドクターや看護師も含めたチームでしょうか。

いろいろあって、とにかく彼女が国技館の敷地内に入った途端、チームの人たちはぴたりと足を停め、走っていく彼女の背中を見送りました。その時の彼らの顔に、私は感動したのです。満足感やいたわりや祈り、巣立っていく子を見送る親の顔でした。

ときには、よろよろと会場まで辿り着かない走者の映像を視ながら歌う人々を映して終わったこともある、サライ。私が好きなのは、各地の系列局のスタッフたちがちらりと映り、一緒に歌っているシーンです。視聴率やスポンサーに振り回されながら、時には不本意な番組も撮る。でも1年に1度、たいへんだけど力を合わせて全力集中し、誰かに喜ばれるプロジェクトがある。やり終えた、と手を振りながら歌う曲です。

偽善だの感動強要だの・・・いいじゃないか、できることをやって喜ばれるのなら。