いつも行くコンビニのレジに、今日はインド人らしい若い女性がいました。綺麗な日本語です。こちらの画面をタッチして頂けますか、と敬語も正確。思わず、日本語上手ですね、と言ったらはにかんで、仕事ですから、と言う。綺麗な日本語で応対されるとまた来たくなります、と言いたかったのですが、焦れている顔のサラリーマンが背後に立っているのが分かったので、そのまま出ました。
近年はコンビニ、弁当屋などのレジは殆ど外国人の若い人です。名札を見るとベトナム、ラオスかカンボジアの人が多いようです。決まりきった会話しかしないので、あまり日本語の上手下手は気にならないものの、時には閉口することもあります。以前、弁当屋に中国人らしい男性アルバイトがいて、「箸要るか」と必ず訊く。高いカウンターから見下ろして言われると、何だかむっとする。日本語では相手が使うのは「おはし」、「お箸要りますか」と言いなさい、と何度も教えるのですが、次に行くとまた、ハシイルカ。お前に食わせて貰うわけではない、と喉元まで出かかって、行くのが憂鬱になり、足が遠のき、そのうち彼はいなくなりました。
インド人は語学の天才、多民族国家だからだとよく言われます。しかし天性だけではないようです。半世紀前インドを訪ねた時、背広姿の青年が近づいてきて案内すると言う。私たちは警戒しました。未だ街に物乞いの子供たちがぞろぞろいた時代です。彼は私たちに地元の説明をし(どこの観光地だったか忘れてしまいましたが)、私たちが2言3言返答すると、さっと近くの日本人グループに寄って行って、同じような対話を繰り返す(つまり、いま覚えたばかりの日本語を試す)。別れ際、チップを渡そうとしたら固辞されました。いつか日本へ行って仕事したいのです、と言われ、私たちは失礼を詫びました。