猫の調停

対立がなかなか解決しない時、双方と同じように付き合うのが公正中立だという態度で行動する人は(ほんとにそう信じているのかもしれないが)、厄介です。対立抗争を長引かせ、時にはこじらせます。殊に一方が強者(集団)である場合は、結果的に弱者を抑圧する側になる。うすうすそれが分かっていて、自分を守るために公平を偽装し続ける人もいます。学校におけるいじめ問題、児童虐待に対する児童相談所の対応などは屡々、これに該当します。

若い頃パワハラに悩まされ、そういう「自称中立」の人は抗争の場からは排除しなければいけない、ということを学びました。味方面をされると手を切りにくくなる。最近は、調停乃至裁定をする立場の人間がそういう態度を取る例が増えて、手を焼いています。

調停をするには、心底には理非曲直の判断がなければなりません。その上で、折衝出来る状況まで持って行くための「嘘も方便」や、「仏の顔」作りはあるかもしれませんが、弱者を黙らせるのが落着であってはならない。理非曲直はその場で口に出さなくてもよいが、結果としてまたは目指す方向として、被害者側にも予感できる必要があります。

数年前にネットで見た投稿動画を思い出します。2匹の猫が一触即発状態になっている。キャプションには「なんだ、やンのか」「オラ、上等だ」と、ヤンキー言葉で喧嘩台詞がつけられていましたが、画像を見れば、片方が興奮し、もう1匹はやむなく応じていることがありありでした。するとそこへ、太めの老猫がのそのそとやってきて、2匹の間にどたりと身を投げ出しました。熱くなっている猫に顔を向けて、寝そべったのです。2匹とも一瞬固まりましたが、1匹はさっさと身を翻し、喚き立てていた方も白けて立ち去りました。みごとでした。