同志との会話

鳥取の教え子が訪ねてきました。お土産は銘酒弁天娘と手作りの干柿。日文協の大会に出て、東博の国宝展を観て帰るという。四方山の話をしましたー鳥取の思い出と近況、息子の進路変更、新学習指導要領下での授業、ICT活用に沿う国語教育や情報教育の実態、文学研究と教育現場とのずれ、インクルーシブ教育の矛盾、定年後の社会活動etc。

彼は50代後半に入った高校教諭ですが、突然定年が5年延長され、高校は未だいいけど、小中の教師で年金給付年齢の65歳まで働くのは、体力的に辛いだろう、と意見が一致しました。彼は、定年後は地元の伝承を掘り起こして次世代に繋ぐ仕事をしようと、準備を始めていたそうです。紙芝居の試作もしたが、コロナで実演できなかったとのこと。

職場では生徒各人に端末(¥3万近い)を買わせるが、入れるアプリが県によって規制されているので、却って手間がかかり、彼は紙の資料と端末用のPDFとを二重に配っている、という。端末と電子黒板だけで授業をすると、生徒の顔を見つめながら、相手の状態に最適の指導をすることができない、という話には大いに共感しました。

発達障害と診断される生徒が増え、しかし普通学級で対応しなければならないケースが多くて苦しんだとのこと。新学習指導要領になって変わったのは模試の問題くらいで、教科書も実際の授業も殆ど変わってはいない、教員志望者が激減し、部活指導を生き甲斐にする教師はいても授業の熱意も実力も落ちていて、これからが国語教育の正念場だと思っている、という。また、平和教育を実施した学級は生徒が人を大事にするようになる、教師が教材を楽しみながら教えると生徒はよく理解できる、これは目に見える事実だそうです。いじめで生徒が追い詰められるのは、結局その学校の組織の質的問題だとも。

教育という仕事の、変わらぬ本質に触れる情報交換ができた、貴重な半日でした。