中世文学会講演

中世文学会秋季大会の10月15日、講演を聴こうと午前中に用事を済ませ、いざPCの前に座ったら、パスワードの通知が来ていない。申し込んでおいたはずなのに、と案内状を読み返しましたが、前日までに来るという発表資料のPDFも来ていません。忘れたのかなあと愕然としましたが、手許で確認する方法がない。後日YouTubeで視聴できないかと再度案内状をひっくり返しましたが、それも申し込み者だけ可能なような文面です。

やむなく、来年の機関誌で読むか、と諦めました。もともと学会講演は、地元の人たちや会場校の人たちには開放されていたのだから、YouTubeは一般公開してもいいのにと思いましたが、仕方がありません。ところが24日に学会事務局からメールが来て、学会員には限定公開するという。合計3時間近くかかるので、2日に分けて視聴しました。

狂言研究が専門で、現在名古屋だけに残る当道由来平曲の保存に尽力している林和利さんの「狂言における平曲の摂取とパロディー意識」では、今井検校の朗々たる「那須与一」の一部を聞かせて貰いました。講演内容は、平曲は語り物と呼ばれるが、殆どの部分には節がついているので、「うたう」と「語る」との双方を含んでいるという主張と、狂言「木六駄」が能「俊寛」のパロディである表徴の指摘でした。

深津睦夫さんの「藤原俊成の歌神観」は、千載集序文に歌神として挙げられる玉津島明神と住吉明神は、じつは12世紀半ば頃から歌神と考えられるようになったのだということを、丹念に資料を吟味して述べたもの。○○の神、と言われる由緒は意外にその根拠が分からないものなので、大いに蒙を啓かれました。

今後は参加登録をした日付をメモしておかなくては、と反省しました。公開期間は2022年12月末日まで、お問い合わせは、中世文学会事務局 chusei-group@keio.jp へ。