源平の人々に出会う旅 第69回「木曽町・木曽の伝説」

 源義仲は、現在の木曽町日義付近で成長したとされ、周辺には数多くの興味深い伝説が存在しています。

【巴淵】
 義仲に従ったという巴は、『源平盛衰記』では中原兼遠の娘、その他の『平家物語』では便女(下女)と記されています。地元の伝説では、巴は木曽川に住む龍神の化身といわれています。

 

【お清地蔵】
 開田高原には、お清くずれと呼ばれる斜面があります。お清という女が、義仲のために水を汲みに来たところ、足を滑らせて斜面から落ちて死んでしまったので、その場所をお清くずれといい、お清の霊を慰めるために地蔵が作られたと伝わります。

 

【夕山】
 開田高原には、木曽氏が山に黄金を埋めたとする、いわゆる朝日長者伝説があります。この伝説は、黄金を埋めた場所を示す口承歌謡があることが特徴です。夕山の伝説では「朝日さし夕日さす白藤の根方に黄金千杯朱千杯」という言葉が伝わっています。「朝日」が「朝日将軍」を連想させるのか、他の地域や義仲の子孫を名乗る家などにも、類似の内容が伝承されています。


〈交通〉
 JR中央西線宮ノ越駅木曽福島駅
            (伊藤悦子)