NHKがニュースで、しきりに「首相は弔問外交を始めました」と言う。強い違和感があります。ところが新聞もまた「弔問外交をする予定」といった言い回しを、平然と使っています。失礼じゃないの!?弔問外交なんて外交はない。要人たちは葬儀に来ているのであって、迎える側は御礼の挨拶をするのが作法。その時ついでに、初対面の挨拶を交わしたり、相手国の様子を訊いたり・・・相互の懸案事項に触れたりする機会もあるかもしれないが、それはあくまで結果的なもの。本来の目的ではないのだから、公式予定であるかのように堂々と言うことではないでしょう。
国対国の外交では、公的な範囲をはみ出す部分は、後世の評価を受けられるかどうか極めて微妙な事柄です。本来なら弔問は弔問で終わらせるべきで、「ついでに」行われる外交は大っぴらではない。あらわにそんな外交を仕掛けるなんて、礼を失している。少なくとも現在進行形で報告する際に使う語ではないと思います。
当初から弔問外交を目的の1つとし、自分の外交デビューに国葬を利用しようとしたのでしょうか。露骨にそう見えれば鼻白むしかない。せめて報道は、死者が静かに眠れるよう、今日明日だけは遠慮のある言い回しを。
午後からヘリが2機、轟音を立てて上空を旋回し、読んでいる本を投げつけたくなるほどでした。警備のためか、本郷通りと音羽通り、北の丸公園から我が家の真上までを、執拗に飛び続けました。死者よ静かに眠れ、後に残る者たちに迷惑をかけずに―抑えていた怒りがこみ上げてきました。議会をないがしろにし、財政をめちゃくちゃにし、実務官僚を苦境に追いやったのは誰だったか!
しかし轟音は止まず、仕事になりません。「アフリカの星のボレロ」でも聴くか。